
島のしごとサポートセンターでは、「課題=資源??地域のしごとをもっとオモシロく」をモットーに、島で「しごと」を作ろうとする方々に寄り添い、分野・エリアに関わらず広い視野をもって地域の課題や資源を扱い、一緒に新しい可能性を模索しています。
全国的に「地方移住」への関心が高まったこの10年。淡路島では、単なる移住にとどまらず、自ら仕事を立ち上げたいという人たちの姿を多く見かけるようになりました。実際のところ、淡路島にはどんな人が集まり、どんな仕事が生まれているのでしょうか。
今回お話を伺ったのは「NPO法人あわじ島くらし」の堀内さんです。 10年以上にわたり、移住者と地域の間に立ち続けてきた堀内さんに、淡路島での起業をめぐる最新の動向や、島で事業を継続させるためのヒントを伺います。

―堀内さんは10年以上、淡路島への移住相談に乗ってこられたとのこと。最近の移住相談の傾向をお伺いできますか?
堀内さん:
相談に来られる方の年代は、その時のニーズや世の中の状況によって結構ばらばらなんです。35~40代が多い時代や、古民家でカフェや飲食店をしたいという方が多い時代、コロナ禍は単身の女性からの相談や、留学に行けなかった大学生が増えたりとさまざまでした。
ただ、シニア層の変化で言うと、はじめた頃は60代くらいの「定年退職後のスローライフ」を求められている方が中心だったのが、最近は50代に変わってきているように感じますね。
―まだまだ現役でバリバリ働ける世代ですね!
堀内さん:
ちょうど子育てが一段落して、自分の人生を見つめ直すタイミングですよね。そのタイミングで「いつか島に住んでみたい」と、夢見ていた人たちが動き出す感じです。この世代のみなさんは「定年を待ってからでは遅い」「まだ動けるうちに、やりたかったことに挑戦してみたい!」と熱量を持たれているように思います。
―熱いです!
堀内さん:
以前は「静かに暮らしたい」という方もいらっしゃったんです。でもそれって、都会の方が実際できるような気がしていて……。田舎では地域とつながらないと、生きていくのが難しいんです。コロナ禍以降は、逆に地域と関わりたくて、島に移住したいという人が増えています。
―なるほど。「島で生きていくこと」が現実的に、相談者の方々にも浸透してきたのかもしれませんね。
堀内さん:
コロナ禍の真っ最中は、大阪や東京からの問い合わせがわんさかとあって「とにかく都会を脱出したい」という方が多かったです。それが落ち着いて、リモートワークだけでは仕事が完結しなくなって、都会に戻る人も出てきて……。今は改めて「自分の暮らしを島で充実させたい」と、考える50代の方が増えている感覚があります。

プロだって、まずは島で働いてみる。
―体感的にですが、移住者さんで起業されている方も多いように思います。
堀内:
最近だと美容師さんや、サロンを運営するセラピストの方、あとは飲食店など「手に職」がある方の起業をよく見かけますね。
―なるほど。淡路島を独立の場として選ばれているんですね。
堀内:
でもおもしろいのが、そういうプロの方たちでも、いきなり自分ではじめる前に、まずは一回、島のお店で働いてみる方も多いんです 。
―プロの方でも、まずは島のお店で働いてみる?
堀内:
例えば飲食店なら、一度島のお店で働くことで、淡路島の旬の食材がわかるし、何より生産者さんとの繋がりができますよね。農業や畑をしたい方についても同じです。いきなり自分の農地を持つ前に、まずは島の農家さんのところで働いてみる。医療や介護系の方もそうです。都会のハイスペックなやり方をそのまま持ち込むんじゃなくて、まずは「島のやり方」に寄ってみる。

―まずは地域のやり方を知って、馴染んむのが大切なんですね。
堀内:
そうしないと、孤立してしまいますから 。一度、地域のやり方に寄ってみる。そうやって周りの人たちに受け入れられてから、自分のやり方を見出していく。その方が、結果的に長く、楽しく続けられている気がしますね 。
まずは「友だち」を増やすことから。長く楽しく、暮らしも仕事も。
―ライフスタイルを大切にしながら移住された方々は、島でどんな仕事に携わられているのでしょうか?
堀内:
都会のように「平日は仕事、週末は休み」と切り離すのではなく、仕事と暮らしが混ざりあったライフスタイルの方が増えていますね。例えば、本業を持ちつつ、地域の農家さんのお手伝いに行ったり、漁業の現場に顔を出したり。

―地域のお手伝いですか?
堀内:
お手伝いを通じて地域に溶け込むことで「あそこの家が空くらしいよ」とか「今度こういうイベントがあるよ」とか。不動産屋さんやネットには出ない情報ってあるでしょう?暮らしの「お付き合い」の中で、自然と新しいチャンスにめぐり会えるんです。
―調べてもでてこない、つながりの中からの出会い。ローカルにはそういう情報がたくさんありそう!
堀内:
島の企業に一旦就職して、じっくり暮らしや仕事を整えるうちに、そういった出会いが増えて。そんな暮らしの中で、やりたいことが浮かび上がってきて、自分の好きなことを仕事にしていく人もいらっしゃいます。
―なるほど~っ。すごく自然発生的で素敵ですね。

堀内:
自分の好きなことも考える間もなく、バリバリ働いてきた方々がほとんど。移住してゆったり時間をとって、島の人たちと仲良くなっていくうちに「やってみようかな?」なんて気持ちがむくむくと湧いてくるようです。
―移住と起業を同時に考える人もいれば、移住してから考えはじめる人もいる。両方ありですね!
堀内:
いずれにしても私は「まずは身軽にはじめてみたら?」と助言することが多いです。いきなり大きな借金をしてお店を構えるのはリスクが高い。まずは間借りやイベント出店から始めて、島の生産者さんたちと繋がっていく。そうやって「友だち」を増やしてからはじめる方が、島での暮らしや仕事を心地よく続けていけると思います。
―ともすれば移住も起業も!と、駆け足になってしまいそうだけれど、ミニマムサイズではじめる。その方がゆとりをもってチャレンジできそうです!
島の暮らしが落ち着いたときこそ「二度目の相談」。
―ここまでのお話を聞いていると、淡路島で起業するにも移住するにも、地域との信頼関係がとっても大切ですね。
堀内:
そうなんです。だから私は、移住者さんの「知り合い第一号」でありたいと考えています。移住して間もないころは孤独になりがち。まずは私と「知り合い」になっていただいて、それをきっかけに、地域の人たちともつながっていっていただけたら……。気軽に相談いただいていいので、ひとりで思い悩む時間を減らしてほしいです。
―堀内さんが「知り合い第一号」って安心感があります。
堀内:
ありがとうございます。もちろん「この物件でお店ってできる?」「保健所の許可や費用って?補助はあるかな?」といった実務的な相談もウェルカムですよ!

―頼もしい!移住して時間が経っていても、堀内さんに相談に乗っていただけるんでしょうか……?
堀内:
もちろんです。移住はゴールではなくスタートです。島での暮らしが落ち着いて、解像度が上がってきた頃に「こんなことやりたい!」なんて、むくむく芽生えることもあります。移住後の相談も大歓迎ですよ。
―移住者さんたちにとって、大きな支えになります。
堀内:
淡路島にはいろんな仕事を立ち上げてきた先輩がたくさんいます。飲食店や美容室、農家さんにシステムエンジニアまで。もともと淡路島の人たちも「やってみたらいいやん!」と、おもしろがってくれる人たちが多いですから。せっかく淡路島で暮らすんだから、やりたいことを思い切り楽しんでほしいです!
―わくわくしますね!今日は貴重なお話をありがとうございました。
堀内:
ありがとうございました。
仕事を創ることは、その土地でどう生きていくかをデザインすることでもあります。
最初から明確なビジョンを持って突き進む人もいれば、島での暮らしになじむ中で「やってみたい」という気持ちが芽生える人もいます。淡路島では、そのどちらのスタイルも懐深く「やってみたらいいやん!」と、ポジティブに応援してくれる人たちが多くいます。
今回お話を伺った「島くらし淡路」の堀内さんは、そんな人たちの島での暮らしがスムーズに馴染んでいくように「知り合い第一号」として寄り添ってくださる心強い存在です。
“いきなり”でも“じっくり”でも。やりたいことが芽生えた方は、ぜひ私たち「島のしごとサポートセンター」も頼ってみてください。暮らしと仕事。あなたなら、この島でどんな風に生きていきますか?

NPO法人 島くらし淡路
〒656-2212兵庫県淡路市佐野969